亡母の遺言が民法第95条と908条に抵触しますので無効確認をお願いしたい
亡母が次のような自筆遺言書(検認済み)を残しました。
1 土地家全部をAの名義にすること。
2 残金によりAに一任しますので分けてください。
以上ですが、小生として次の理由により本遺言は無効と判断しています。
この判断が妥当なのか否かをお教え願います。
1の土地は亡父が残した公正証書遺言(平成21年1月発見)では母に相続させるとなっており、家=建物は長男である小生に相続させるとなっています。
従って、母は建物を相続したものではありません。
しかも、亡父の遺言書には父の自筆原稿が同封されていますから何事も母と相談する父でしたから遺言書も母と相談しながら作成したはずです。
また、生前の母は父の遺言書のあることを話していましたから母は遺言内容を知っていたことは間違いありません。
にもかかわらず母は建物も相続したものと錯誤してAの名義にすることと遺言しております。
これは民法第95条(錯誤による意思表示)が適用されて本遺言書は無効だと思うのですが、いかがでしょうか。
2の「Aに一任」ですが、民法第908条(遺言による分割方法の指定と分割禁止)によれば「第三者に委任し」となっていますので、Aは小生の弟で相続人の一員ですから第三者ではありません。
よって本条に抵触する記載として本遺言書は無効と判断しています。
いかがでしょうか。ご教授ください。
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- 弁護士法人ラグーン若松法律事務所
若松 敏幸
本件遺言は、無効とはならないと思います。
錯誤の立証は難しいでしょう。建物が相談者の所有の場合でも、土地の部分は有効になると思います。Aに一任とは、遺言執行者をAにしたとも読めます。これだけで、無効になるとも思えませんが?
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