親族間の土地使用貸借後に発生する相続について
母所有の土地があります。
法定相続人は子二名(私と弟)。
弟は50歳で未婚ですが、結婚話がありますが相手の方も40後半なので子が生まれることはありません。
母の相続が発生した時に法定通りに相続すると、その後弟に相続が発生した場合、弟の婚姻相手に相続され、自分とは全く赤の他人に土地を奪われることを危惧しています。
母は唯一の血縁である私の子に最終的には相続が行くように考えています。
弟も了承していますので、土地の相続に関しては問題はありません。
しかし、家屋が古く、結婚を機に二世帯を建てようかという話があります。
1階は母が出資し母名義、2階は弟名義になります。
母の相続が発生した場合、1階部分は私に相続させるとのことです。
母が存命中は母の土地に息子である弟の家があっても土地使用貸借で問題ないと思いますが、土地が私の息子名義になった場合、弟名義の家はそのまま土地使用貸借が適用されるのでしょうか?
また、弟に相続が発生した場合、弟の婚姻相手が家を相続したら、どうなるのでしょうか?
借地権を主張されることはあるのでしょうか?
また、婚姻相手が家を第3社に売買することは可能なのでしょうか?
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- 司法書士行政書士 児玉事務所
児玉 卓郎
回答
弟さんが家をもっていることにより取得している使用貸借権は弟さんの相続人に承継されることになると思います。
- 司法書士行政書士 児玉事務所
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- 加塚法律事務所
加塚 裕師
土地の使用貸借契約は借主の死亡により終了しますので、弟の配偶者が土地について借地権を主張することはできないことになります。
土地所有者の母と建物所有者の弟との間で土地使用貸借契約が締結され、その後母の相続が発生した場合、使用貸借契約上の貸主の地位は相続人に承継されることになります。他方、借主である弟の相続が発生した場合、借主の死亡は使用貸借契約の終了事由になるため(民法599)、その時点で使用貸借関係は終了し、弟の配偶者も土地の使用権原すなわち借地権を主張できないことになります。もっとも、建築予定の二世帯住宅が区分所有の対象になる建物で、2階部分が弟の所有であるならば、その部分の少なくとも法定相続分に応じた共有持分は相続により弟の配偶者に帰属することになります。このような状態で弟の配偶者が区分所有部分を第三者に売却することは、法的には不可能と言えないものの、実際に買い手がいるかという見地からすれば、事実上不可能と思われます。ただ、弟の配偶者が建物に居住を継続した場合、その建物の共有持分権は配偶者に帰属するものである以上、退去を求めることは困難であり、権利関係が複雑になることが危惧されます。
- 加塚法律事務所