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遺言で相続されるはずの現金が貸し付けられた場合の対処

私の妻には叔母が一人います。
その叔母が今でも93歳で健在です。
叔母には姪が二人いて、高齢の為二人の姪が面倒を見いています。
叔母が残した現金は私の妻の姪が遺言で遺贈される事になっていますが、最近になって私どもの長男が税理士の助言もあり借用書を書いて住宅ローンの返済に使ってしまいました。
本来自分の老後の為と思っていた妻は長男に横取りされたと不満のようです。
妻が相続する筈(遺言書)が長男が金銭貸借でローンの返済に使ってしまいました。
妻は叔母が没後遺言の意思によって(債権)長男から返済を継続して貰えるのでしょうか?
それとも金銭貸借が優先して叔母がなくなれば、長男は返済の義務が無くなるものでしょうか?
現在2年前に叔母から借りた金は一銭も返済しておりません。

  • 司法書士行政書士 児玉事務所
    児玉 卓郎

    回答

    遺言の効力は叔母が死亡したときに発生するものであり、遺言の効力を生前に保全するものではないし叔母が遺言に反することた場合はそちらの方法が優先されます。ただ長男に贈与したわけではないので、長男に貸した分は貸付債権として、一般財産になりますから、遺言で叔母の財産を取得したものが長男の貸付債権も取得するわけですから長男の返済義務は残ります。

  • 永田翔綜合事務所
    永田 翔

    遺言書の内容にもよりますが

    「現金は山田花子に遺贈する(相続させる)」といった書き方であれば、相続時(死亡時)に現金が残っていなければ、借用書に基づく債権は奥様は譲り受けることができません。

    解決策としては、遺言書を書きなおしてもらい、ご長男への貸付金も遺言で奥様への相続の対象にしてもらうことです。

    そうでなければ、ご長男への貸付金は法定相続分に従うなどの形で、他の方が相続することになろうかと思います。

  • 加塚法律事務所
    加塚 裕師

    現金の遺贈は貸付の限度で撤回されたものとみなされますが、金銭債権は相続の対象になります。

     現金を遺言で遺贈されることになっていたとのことですが、そのような遺言があっても、その後その遺言と抵触する生前処分がなされた場合、その限度で従前の遺言は撤回されたものとみなされます(民法1032条2項)。相続開始前は、相続人の権利は単なる期待権に過ぎず、遺言者自身の財産管理の自由が優先します。もっとも、叔母の長男に対する貸金債権は、それが未返済のまま相続が開始すれば、相続の対象になります。金銭債権は数量的に分割可能な可分債権であるため、特に遺言に定めがなければ、相続人の間で法定相続分に基づき、当然に分割され、各相続人が分割取得することになります。よって、ご相談者の妻は、相続開始後に、その時点で未返済の貸付債権のうち、法定相続分(相続人が姪2人のみであれば、各2分の1)に基づく債権を取得し、その限度で長男に弁済を求めることができます。

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