土地の相続と放棄について
高齢の父が所有する北海道の別荘地(原野)の相続についてです。
父は84歳認知症で、自分が動けるうちにこの土地を処分(売買)したいと考えていますが、実際にはライフラインも通っていない原野の別荘地の一区画で、長年売りには出していますが、全く買い手がつきません。
父は自分が購入した先(不動産店)に引き取ってもらえば、現金が手に入ると思い込んで、何度も現地へ赴こうとするのですが、私と妹が止めたり(認知症なので)行けなかったり、の繰り返しです。
そこで考えたのが、父の思い入れのある土地なので、私たちが生前に譲り受け大事に管理すると言えば、父が土地のことを気にすることも無くなるのではないか、と考え、生前贈与してほしいと伝え、父も承諾しました。
しかし、譲ってほしいというのは、あくまで父を安心させるためで、私たちも、一文にもならない土地を譲り受けても仕方ないし、ただ寝かせているだけの土地の税金を受け継ぐことになります(父も現在は無駄な税金を払い続けています)
なので、もし父の逝去と同時に相続という形になった場合は、放棄しようと考えていますが、生前贈与した場合、土地を処分(放棄)するには、方法がありますでしょうか?
また贈与、相続のタイミング的に、お金があまりかからない、良い方法がありましたら、教えていただきたいです。
宜しくお願いいたします。
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- 司法書士行政書士 児玉事務所
児玉 卓郎
回答
生前贈与を受ければその土地は貴殿のものになり相続財産になりません。価格が低ければ贈与税の非課税の範囲内と思われますしまた相続清算手続きをとれば相続時に相続した場合と同じだけ支払えばいいわけですから、贈与税はかからないと思います。価値がないと思えば贈与は受けないで相続時に放棄手続きを取るのが一番です。
- 司法書士行政書士 児玉事務所
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- おがわ町総合法務事務所
達脇 清将
贈与の契約書を作らず登記もせず、相続発生時に相続放棄の申述をする、という方法がないわけではありません。
こんにちは。貴殿の相談内容につき、どの程度御尊父に事理弁識能力がないのかが定かではないので、あくまで仮定の話に過ぎませんが、仮に事理弁識能力がない常況であれば、当該贈与契約は無効であり、無効のまま、相続発生後、相続放棄をすることができます。
同能力がある場合は、「譲り受けるよ」と申出、御尊父が「譲る」とおっしゃれば、贈与契約は諾成契約(口頭でも有効な契約)ですので、贈与契約が成立しますが、それだけで御尊父の気が済むようであれば、契約書を作成せず(作成すると撤回できなくなります)、登記もしなければ、上記同様、「ただ気が済むように相槌を打っていただけの話」ですし、御尊父が心裡留保を主張することもあり得ないわけですから(死亡しているため)、手続き上の瑕疵なく相続放棄ができます。
しかし仮に、口約束での贈与契約は許さない、契約書を作り、登記もしないと気が済まない、と御尊父がお考えならば、専門職等に成年後見人になってもらう等の方策を検討する必要があると思います。ただ、これだと多少コストがかかってしまいますので、「お金があまりかからない」方法としては、現状のままで我慢するしかないように思います。
なお、相続放棄については、専門家に依頼する場合は司法書士か弁護士の2通りとなりますが、「お金があまりかからない」という観点から考えると、一般的には司法書士に依頼するほうが抑えられるのではないか、と思料します。 - おがわ町総合法務事務所
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- 司法書士平田峻太事務所
平田 峻太
認知症について
認知症に罹患しているということになると、成年後見等の手続きを経ずに生前贈与による所有権移転登記を引き受ける司法書士がいないと思われますので、方針をもう一度よく考える必要があるように思います。
- 司法書士平田峻太事務所